1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 01:16:29.69 ID:P3FtNlO00
ウサギのアジト──

ウサギ「決めたよ」

ウサギ「オレ、カメと決着つけるわ」

ウサギ「どっちが世界最速か、いい加減ケリつけねぇとな」

アキレス「えええええっ!?」

タヌキ「マジっすかポンポコ!?」

ウサギ「大マジだよ」




39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:22:44.19 ID:P3FtNlO00
パシッ! パシィッ!

かぐや姫「いたっ! なにをするのよ、ウサギ!」

乙姫「ぐっ……殴りおったな、カメ!」

ウサギ「オレたちはあくまで、自分のためにかけっこするんだ」

カメ「うむ、竜宮も月も関係ない」

ウサギ「もし下らない勢力争いのために」

カメ「俺たちのかけっこに茶々入れるような真似したら……」

ウサギ「月だろうが──」

カメ「竜宮城だろうが──」



ウサギ&カメ「ツブす」

かぐや姫&乙姫「…………」ドキーン




40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:25:03.79 ID:RRh/+ui90
ドキーン

じゃねえよ




41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:26:01.85 ID:f/uwiCd9O
かっこよすぎだろ




43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:27:18.46 ID:P3FtNlO00
かぐや姫「ウサギったら……」

かぐや姫「あんな目で睨まれたら、惚れ直しちゃうじゃないのよ、もう……」ポッ…

乙姫「うむ……お互い難儀じゃな」

乙姫「なんで、わらわはあんな爬虫類に惚れてしもうたのか」

かぐや姫「ホントねえ」

かぐや姫「私もなんで帝より、ウサギなんかに心を奪われてしまったのかしら」

乙姫「とにかく、もはやわらわたち女の出る幕はないようだ」

乙姫「恋する乙女同士、ここは黙って二人を応援するとしよう」

かぐや姫「そうね、そうしましょ」




44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:29:59.24 ID:YpqpsLYOO
ただかけっこするだけなのに龍の如くきオーラを纏ってやがる…流石は亀さんと兎さんだな




45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:30:34.17 ID:P3FtNlO00
ウサギサイド──

タヌキ「勝って下さいっす! 勝てるっす!」

ウサギ「ありがとよ、タヌキ」ニッ

アキレス「君がカメに勝てるワケがない」

ウサギ「治ったアキレス腱、大事にしろよ。アキレス」ニッ

アキレス「ちぎって下さいよぉぉぉぉぉっ!!!」



カメサイド──

浦島太郎「いよいよじゃのう」

浦島太郎「野次馬どもは騒ぎ立てておるが、気楽にやることじゃ」

カメ「もとより周囲の雑音なんか耳に入らん」

ツル「行ってらっしゃいませ」

カメ「ああ」




47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:32:26.37 ID:pe6b8wyq0
アキレスのキャラがいまいち思い浮かばない




48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:34:01.08 ID:P3FtNlO00
キジ『ケーンッ!』

キジ『お待たせいたしましたケン!』

キジ『いよいよウサギとカメの、世紀のかけっこが始まるケーンッ!』

キジ『実況と審判は私、キジが務めるケーンッ!』

キジ『ちなみに桃太郎さん、イヌ、サルは鬼が島に出張中だケン!』

キジ『また解説として、スピード自慢の豪華ゲストも呼んでいますケンッ!』

メロス「メロスは解説した」

チーター「オレはスピードキングだ!」

音「俺様に任せとけっ!」

光「よろしく頼むよォ~」




50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:37:14.07 ID:P3FtNlO00
キジ『ゴール地点は、10km先にあるあの丘の頂上ケーンッ!』

キジ『さあ、ではさっそくかけっこ開始ケン!』

キジ『両者、位置について!』



ウサギ「…………」スッ…

カメ「…………」スッ…



タヌキ「二人とも、クラウチングスタートっすね!」

浦島太郎「当然じゃろう。あれが一番理にかなっとる」




51: ♯♯♯♯ 2013/08/17(土) 02:38:19.67 ID:hHomMkchP
亀のクラウチング?




52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:40:18.34 ID:P3FtNlO00
キジ『よーい……』

漁師「キジも鳴かずば──」チャッ

漁師「撃たれまいっ!」

ドゥンッ!

キジ『いてっ!』



ドギュゥゥゥゥゥンッ!!!



キジ『さあ、私が銃で撃たれるのを合図に、両者走り出したケンッ!』

キジ『速い、速い、速い!』

キジ『でも、あれ……?』




53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:42:28.79 ID:PBnz2ZZOO
>>38
むろみぃ~~




54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:43:55.92 ID:P3FtNlO00
ズドドドドドドドドドド……!

キジ『どんどん二人とも、あさっての方向に走っていくケーンッ!』

キジ『そっちはゴールじゃないケン!』

キジ『これはいったいどういうことか、誰か解説してくれケン!』

メロス「メロスは困惑した」

チーター「え、どういうことだ?」

音「オイ、どうなってやがんだよ! 俺様に分かるように誰か教えろ!」

光「おっかしいねェ~……」

キジ『なんの役にも立たねえケン、こいつら!』



アキレス「二人とも全力で走るなど、本当に久しぶりのことだったはず」

アキレス「だから、自分の走る方角を制御しきれていないんだろう」

ツル「だったら、制御できるぐらいのスピードに緩めればよいのでは……?」

アキレス「ウサギとカメが、そんなタマかね?」

ツル「……ですね」




55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:46:43.07 ID:P3FtNlO00
ドドドドドドドドドド……!

キジ『すでに二人の時速は80km/h!』

キジ『メロス氏の最高時速を上回りましたケーンッ!』

メロス「メロスは敗北した」

キジ『さらに、まもなく150km/hに到達し、チーター氏も抜かれたケン!』

チーター「マジかよ!」

ドドドドドドドドドド……!



かぐや姫「いくらなんでも速すぎよ、ウサギ……」

乙姫「こんなに速かったのか、カメは……」

タヌキ「いや、こっからどんどん上がっていくっすよ!」




56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:48:17.30 ID:PBnz2ZZOO
うさぎごときが偉そうに
あいつなんか畑の切り株に激突して死ぬ程度のレベルだろう




58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:49:46.37 ID:P3FtNlO00
ドドドドドドドドドド……!

キジ『すでに二人の姿はこのかけっこ会場から消え──』

キジ『人工衛星で二人を追いかけて中継しているという状況ケン!』

キジ『ただいま、二人の時速が1300km/hと確認されたケーン!』

キジ『音速を超えましたケン!』

音「俺様が負けただとぉ!? ウサギとカメのくせに生意気だ!」

ドドドドドドドドドド……!



アキレス「というか、さっきからこのスピードは誰が計ってるんだ?」

タヌキ「事前に二人に取りつけた装置で、分かるみたいっすよ」

ツル「ずいぶん丈夫な装置ですわね」

浦島太郎「まあそこはメイドインジャパンパワーってやつじゃよ」




59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:52:47.94 ID:P3FtNlO00
ドドドドドドドドドド……!

ウサギ「カメよ」

ウサギ「お互い、だいぶ体があたたまってきたな」

カメ「うむ」

ウサギ「まだまだ加速できるか?」

カメ「もちろんだ」

ウサギ「よっしゃ、手加減しねえぜえっ!」キッ

カメ「望むところ!」キッ

ギュンッ!!!




60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:53:00.51 ID:JHW691w90
なんかウサギとカメでウサギがどうしても寝てしまう理由は病気だったからとか言う話思い出した




61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:55:32.06 ID:P3FtNlO00
キジ『お~っと!』

キジ『ついに二人のスピードが、地球を脱出できる第二宇宙速度に到達!』

キジ『ウサギとカメは地球から飛び立ってしまったケ~ンッ!』

キジ『さよぉ~なら~!』



キラッ…… キラッ……



アキレス「あの地表から飛び立つ二つの流れ星が、おそらく二人だ」

タヌキ「いってらっしゃいっす!」

ツル「気をつけて下さいませ~!」

浦島太郎「宇宙旅行とは、元気じゃのぉ~……ほっほっほ」




62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:57:14.42 ID:f/uwiCd9O
かけっこ・・・?




63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 02:58:49.23 ID:P3FtNlO00
ギュオォォォォォ……!

ウサギ「宇宙空間に来たのは初めてだが、案外なんてことねえな」

ウサギ「空気がないのは寂しいが、オレたちは空気ぐらいなくてもしゃべれるし」

ウサギ「足で宙を蹴れば、ぐんぐん進むしよ」

カメ「うむ」

カメ「そろそろ俺たちの速度は光を超える」

カメ「いっそ、このまま太陽系を脱出してしまおう」

ギュオォォォォォ……!



キジ『二人の速度が、ついに光速を超えた! まだ伸びてるケン!』

光「やれやれ、こうもあっさり抜かれるとはまいったねェ~」




64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:01:14.41 ID:P3FtNlO00
銀河大魔王「フハハハハ……」

銀河大魔王「我が超高重力圧縮四次元砲で、この宇宙を丸ごと消滅してくれる!」

銀河勇者「くそっ、これで宇宙は終わりか……」



ウサギ「オイ、なんかやってるぞ。ドラマ撮影かなんかか?」ギュオオ…

カメ「ジャマだな。どかしてしまおう」ギュオオ…



ドゴォンッ!!!



銀河大魔王「げぶうっ!?」

銀河勇者「いったい何が起こった!?」

かくして宇宙は救われた。




66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:04:19.43 ID:P3FtNlO00
やがて二人は、何もない世界に到着していた。



ウサギ「どこだここ?」

カメ「どうやら宇宙の果てを突破し、宇宙の外にある無の空間にたどり着いたようだ」

ウサギ「なにもねえな。色も音も……時間の流れすら感じねえ」

カメ「それはそうだろう。なんといっても無なのだからな」

ウサギ「こんなところにいてもつまらねえな。地球に戻ろうぜ」

カメ「うむ、地球で決着だ!」

ギュオッ!




67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:07:09.15 ID:P3FtNlO00
かけっこのゴール地点──

タヌキ「もう夕方っすよ……」

タヌキ「いったい宇宙に飛び出したっきりどこに行ったのか……」

ツル「心配ですわ……」

アキレス「隕石などにぶつかったのだろうか……」

浦島太郎「なあに、二人ならきっと無事じゃよ」

かぐや姫(ウサギ……)

乙姫(カメ……)

「あっ、戻ってきたぞ!」 「ホントだ!」 「二人ともヘトヘトだ!」



ウサギ「ハァ……ハァ……」ヨタヨタ…

カメ「ゼェ……ゼェ……」ヨロヨロ…




68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:10:16.06 ID:P3FtNlO00
キジ『さぁ、さきにゴールにつくのはどっちケーンッ!』



ウサギ「負け……るか、よ……」ヨタヨタ…

カメ「俺が……勝つ……」ヨロヨロ…



キジ『ゴールまであと50メートル!』



ウサギ「うおぉ……」ヨタヨタ…

カメ「足よ……動け……」ヨロヨロ…



キジ『10メートル!』




71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:13:28.10 ID:P3FtNlO00
タヌキ「ウサギさん!」

アキレス「ウサギ君!」

かぐや姫「ウサギッ!」

ツル「カメさん!」

浦島太郎「カメ!」

乙姫「カメ!」



ウサギ「最後の、力を……!」ヨタヨタ…

カメ「振り、絞る……!」ヨロヨロ…



ドサァッ……



キジ『両者、ほぼ同時にゴールに倒れ込んだケン! 果たして勝者は!?』




73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:17:15.35 ID:P3FtNlO00
キジ『判定──』

キジ『…………』

キジ『わずかに首の長さの差で──カメの勝利ケーンッ!』



ワァァ……! ワァァ……! ワァァ……! ワァァ……!



カメ「ウサギ……紙一重のいい勝負だったな」

ウサギ「フッ、オレの完敗だ」

ウサギ「かけっこで負けた者は全ての名誉を失う……もちろん、覚悟の上だ」

ウサギ「誇ってくれ、カメ」

カメ「いや、どうやら──」チラッ




75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:21:20.35 ID:f/uwiCd9O
原作通りか




76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:22:44.00 ID:P3FtNlO00
タヌキ「すげえっす! 感動したっすよ!」

かぐや姫「よくやったわウサギ、よくやったわカメ!」

ツル「お二人とも、ゴールおめでとうございます!」

浦島太郎「年取ると、涙腺がもろくなっていかんわい」ウルッ

乙姫「ふむ、カメもウサギもあっぱれじゃ」

キジ「泣けるケーンッ!」

メロス「メロスは感激した」

チーター「ヒャハハッ! 二人ともすげえぜ!」

音「お前たちは心の友だぜ~!」

光「わっしも感動したねェ~……」



カメ「宇宙をまたにかけたこのかけっこ。もはや皆、勝敗など論じてはいない」

カメ「失ったものより、得るものの方がだいぶ多そうだな、ウサギ」

ウサギ「ケッ……バカヤロウどもが……!」グスッ…




77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:23:54.38 ID:K14jN3xx0
かけっこ…?




78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:28:30.05 ID:P3FtNlO00
カメ「ウサギ……今日は楽しかった。またかけっこしよう!」

カメ「俺はいつでも受けて立つ!」

ウサギ「ふん、絶対リベンジしてやるぜ!」

アキレス「あ、あの……」

ウサギ「どうした、アキレス?」

アキレス「いったとおりだろう? やっぱりウサギ君は勝てなかったね」ニコッ

ウサギ「……出せ」

アキレス「はいっ! 派手にやっちゃって下さい!」

ブチィッ! ブチィッ!



真っ赤な夕日が、皆がいる丘をあざやかに照らす中、

アキレスのアキレス腱が派手な音を立てて切断された。



ウサギとカメのかけっこ、これにておしまい。




80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:29:14.12 ID:hHomMkchP




82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:36:16.56 ID:ghwZ6R4I0
コロコロの読み切りでありそう




84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:43:55.25 ID:K14jN3xx0
増田こうすけの絵で脳内再生してたわ





85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:44:45.60 ID:xRYOwExM0
スクライドっぽい感じがした




86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:56:14.81 ID:NFiQNcOH0




87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 04:02:06.01 ID:+SEm5+mHO
面白かった




79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/17(土) 03:28:49.96 ID:P3FtNlO00
ありがとうございました!




引用元: ウサギ「決着つけようぜ……どっちが最速かをよ!」カメ「うむ!」

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